つちのこの巣穴

未確認生物による、未確認な世界の記録。

ヨーロッパ旅行③ アムステルダム

2月8日 場所;オランダ・アムステルダム 天気;曇りのち少雨

 今にも落ちてきそうな重たい鉛色の雲が、アムステルダムスキポール空港に降り立った私を出迎えた。入国審査を終えて、I loveアムステルダムカード(市内交通一日乗り放題券)と空港都市間の往復シャトルバスチケットを購入して、空港の外に出る。12時間のロングフライトを終えたばかりで、久々の娑婆の空気が美味かった。空気が美味いとヤニが吸いたくなる。ヨーロッパはどこでもそうだが、室内での禁煙が非常に厳しく取り締まられている一方で、屋外では何処でも喫煙できる。空港も一歩外に出たらそこらじゅうに灰皿があった。

 

 バスで30分くらいで市内に入る。ここまでくると、赤レンガの家々に路面電車が往来する、我々が想像するオランダの街並が広がっている。「Rijinksmuseum(≒オランダ語国立博物館)」というバス停で下車する。今回私がオランダに寄り道したのは、オランダが誇る画家たちの名画を生で見るためだった。オランダはゴッホレンブラントフェルメールといった著名な画家のゆかりの地であり、そのため国内の美術館には彼等の無数のコレクションが所蔵されている。今回イタリアで多くのルネサンス絵画を見るにあたって、どうしてもこうした脱宗教世界におけるヨーロッパ絵画を見て、自らそれらと対比させたかったのだ。

 

 まず向かったのはゴッホ博物館である。日本でも有名なゴッホの「ひまわり」や自画像が展示されている。生で見てみると、ゴッホの作品は、絵の具の盛り上がりが非常に大きく、絵の立体感が凄いことに驚嘆する。そして、大胆な画風の中に一本一本の繊細な筆遣いが垣間見え、それが全体として「理解しうる」像となっているところが、流石は名画だと感じた。ついでに言えば、ヨーロッパ諸国の中で唯一鎖国中の日本と国交を持っていたというオランダの特性からか、ゴッホも日本に対する関心が非常に高かったようで歌川広重東海道五十三次の模写など、日本に関連する絵画も複数展示してあった。

 

 そういう訳でゴッホ美術館を後にし、折角オランダに来たので合法である売春を楽しもうかと考えていたのだが、思いのほか時差ボケが激しく(このときすでに日本時間では午前6時であり、さらに言えば前夜はクソ映画研究会でほぼ寝てなかったためだと思われる)、睡魔でそれどころではなかったため切り上げることに。雨も降ってきたのでそうそうに宿に戻りたかったが、いかんせん路面電車の路線がわからない。そもそもオランダ語が読めないのでどこに行けばいいかもわからない。とりあえず駅に行けばすべての路線が乗り入れているだろうと思い、国鉄の駅に向かうものの、乗り場がどこかわからない。軽く晩飯を食べ(といっても16€≒2000円くらいしたのだが)、諦めてタクシーで帰ることにした。

 海外旅行でタクシーを使うことに色々と考えるところはあるだろうが、私としては安全料だと思う。慣れない土地で疲れ果てた上に、雨の中一人、夜歩きをするのはそれなりにリスクのある行動である。タクシー代をケチってトラブルに巻き込まれては元も子もない。多少割高でも、まだ旅と土地に慣れていないうちは使って損はないと私は思う。今回のタクシーの運転手は私の拙い英語に合わせてゆっくりと喋ってくれた。私が日本から来たというと、アニメの話題を振ってくれた。どんなアニメが好きなのかと聞くとドラゴンボールNARUTOが好きと教えてくれた。お前はどんなアニメが好きなのかと聞かれたので、インフィニット・ストラトスと答えておいた。多分知らんだろうけど。

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 時計は10時を少し回った程度だったが私の体力は限界を軽く凌駕していた。宿に着くや否や、ベットに倒れ込み、シャワーも浴びずに寝てしまった。とにもかくにも、こうして私の欧州旅行1日目は幕を閉じた。