つちのこの巣穴

未確認生物による、未確認な世界の記録。

ヨーロッパ旅行⑥ イスタンブール

 2月12日 場所;イスタンブール 天気;晴れ

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宿の朝食。トルコもヨーグルトやチーズなどの乳製品が多い。後干しイチジクが美味かった。

  朝焼けが瞼の裏に差し込むより先に、イスラム世界特有の詠唱であるアザーンの響きで目が醒めた。イスラム教国では夜明け前に必ずこれが流れるらしい。目覚ましを買わなくてもいいものだから、旅行者にしてみれば大変ありがたいものである。

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朝焼けに染まるブルーモスク。

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トプカプ宮殿内部。



 朝食を食べ、朝の人がいないうちにブルーモスクを見学し、その後トプカプ宮殿に向かう。トプカプ宮殿とは、オスマン帝国の皇帝が過ごした居城兼政庁で、ボスフォラス海峡を見渡せる旧市街先端の高台の上にある。前日に見たドルマバフチェ宮殿はオスマン末期の宮殿ということで、ヨーロッパ建築の様な面持ちもあったのだが、こちらはやはり「イスラムの国に来たな」と思わせる佇まいである。

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青い空に白い大理石がよく映える。

 下町で軽く昼食をとった後、スレイマンモスクに向かう。おそらくイスタンブールで最も美しいモスクだと感じた。大理石で作られた真っ白なミナレットは、イスタンブールの群青の空によく映える。やはりオスマン最大の勢力を誇ったスレイマン一世の御代に作られたモスクである。
 私は今回の旅にいくつかのテーマを持っていた。その一つは、先の記事で書いたように「ルネサンス絵画と近代西欧絵画の比較」であるが、もう一つは「東西ローマ帝国帝都の比較」である。この比較をする上で、キリスト教の視座を欠かすことはできない。この後ローマでカトリックの総本山であるバチカンにむかうため、イスタンブールでもそれに対応する東方正教会の総本山であるコンスタンティノープル総主教庁へと向かった。

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ちょっとさびれた感じのコンスタンティノープル総主教庁


 コンスタンティノープル総主教庁は、この都がイスラムの手に落ちた今となってはあまり有名ではないようで、観光ガイドはおろか、地元のタクシードライバーですら知らない様子だった。実際に行ってみても、何処を歩いても人でごった返している旧市街中心部と比べると閑散としていた。内部は東方正教らしく、イコン美術と幾何学模様で飾られており、後に見るカトリック的な宗教芸術とは異なった赴きを表していた。ローマ帝国からビザンツへ、ビザンツからオスマンへというイスタンブールの歴史を感じる事の出来る場所だった。

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イスタンブールの隠れた名物・サバサンド。サバの塩焼きをバケットで挟んだだけの簡単フード。普通に白米がほしくなる。

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船の乗客が餌をやりまくるもんだからカモメが大挙して押し寄せてくる。

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エミノミュは常に人でごった返しているので、スリに注意。

 船着き場のあるエミノミュに向かい、名物のサバサンドをかじりながらボスフォラス海峡クルーズに参加する。このクルーズ、約90分でボスフォラス海峡を周遊して20TL=400円と超お得なので、読者の諸君もトルコにお越しの際は是非参加してみてほしい。いい景色を見たいがために窓際に座りすぎると、まれにカモメの糞が空から降ってくるので、それには注意してほしい。(友人は命中した。)

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いろんなシーシャ。


 せっかくイスラム世界にやってきたのだから、シーシャが吸いたい!とのことで、(まあ梅田でも吸っているのだが)スルタンアフメットに戻りシーシャバーへ。日本や欧米では、シーシャと聞くとクラブやスポーツバーでヒッピーな若者が吸っているというイメージだが、本場イスラム世界では、普通のおじさんたちがコーヒー片手に談笑しながらぷかぷかやっているといった感じで、怪しげな感じは一切なかった。ちなみに1回60TL=1000円と格安だった。 (梅田のよく行く店は1500円である。)
 最後にトルコ風アイスを食べ、我々は帰路に着いた。明日はいよいよ、イタリア・ローマに向かう。私にとってはこの旅行二回目のEU圏入境である。まだ見ぬヨーロッパの大地に期待をしながら、私は床に臥した。