つちのこの巣穴

未確認生物による、未確認な世界の記録。

ヨーロッパ旅行① 旅の準備編

 香港から帰国し、関空からの南海快速で久々の日本の空気を味わっている中、友人から届いた一通のラインから、私の次なる、そして人生で最大で最もスリリングな旅が幕を開けた。

 今回のヨーロッパ周遊旅行に誘ってくれたのは高校大学同期の友人のTだった。Tは、この冬同じく高校の友人で今は東京に居るOと一カ月程の海外旅行に出るとのことで、私にはその道中の一部でもいいから連れ添ってくれないかという事だった。その理由としては、①Tの海外渡航が初めてであり、ある程度旅慣れているであろう(これは自称しているわけではない)私が同行した方が安心だということ、②1か月間2人で行動を共にする中で気まずいときやどちらかが疲れる時もあるだろうから、なるべく3人でいたいということ、③古くからの友人である私との就職前の思い出作りの3つがあった。

 私としては、最初は正直乗り気ではなかった。まず金銭的な面でいえば、先般の香港旅行でそれなりの貯蓄を切り崩しており、且つ時間的にも、長期インターンをしている手前、おいそれと長い休みが取れるわけでもない。さらに言えば、友人たちと違い、後2年追加で学生をさせてもらう身分である自分が道楽をする許しを親に乞う後ろめたさもあった。

 しかし、主にTと話し合いを繰り返す中で、私の意思は徐々に変わっていった。何よりも、もう彼等と一緒に居れる時間は今しかないという思いが私に決断を迫った。私の価値観に「時間は有限、金は無限」というものがある。金は無くなっても稼げばいくらでも取り戻せるが、人生という与えられた時間は決して増えることはない。私にとって彼等との時間はそれほど価値の高いものだということを思い出したのだった。

 年が暮れる頃、旅の行程は以下のように固まった。まず出発地点はイスタンブール、空路でローマに入り、フィレンツェヴェネツィアを巡る。私はここで離脱し、TとOはそのままスペインとフランスを周遊し、東欧を南下して再度イスタンブールへ。空路で日本へ帰国する。私は離脱後、単身シチリアに飛び、その日の夜海路にてマルタに入港、空路で帰国する。TとOが成田発着、私が関空発着の為、今回は現地集合現地解散という初の試みとなった。

 ちなみに今回の旅で私がマルタに寄る日程を立てたのは、私がかつてマルタに留学していたというのもあったのだが、それに加えて高校の別の同期Nがちょうど同じタイミングで留学していて、折角イタリア迄寄るのであれば一回遊びに行きたいと考えたところなのだが、実はこの友人の方からわざわざヴェネツィアに来てくれるとの申し出があったため、私のシチリア・マルタ旅行一人旅は回避された。

 そんなこんなで、パスポートの準備、交通手段の確保、宿の手配、手荷物の支度を終え、出発前日の夜、蛍池の友人の元へと転がり込んだ。今回はフライトが11時だったので、遅くとも関空に9時着、そのためには朝7時に家を出る必要があったのだが、この時間は朝のラッシュと重なるため、なるべく鉄道は避けたかった。そこで考えたのが前日の夜に蛍池の友人宅に泊まり込み、あくる朝駅から伊丹関空連絡バスに乗るという手段だった。この連絡バスは、関空迄の交通手段としては1950円とかなり割高な部類なのだが、乗り換えがない上に必ず座れるという点で、利用シーンを絞れば非常に有用である。

 奇しくも、この日は友人宅で「クソ映画研究会」の定例会が行われていた。(クソ映画研究会については過去記事参照。)

 

tsuchinoco-burrow.hatenadiary.jp

  この日は「新春バタフライエフェクト祭り」と題し、「バタフライエフェクト」「バタフライエフェクト2」「バタフライエフェクト;インクライモリ」の3本を見たが、これがなかなかの苦痛だった。正直前者2本はクソ映画と呼ぶには失礼な程度にはおもしろさがあったのだが、最後の「インクライモリ」だけは度し難いクソであった。というのも、①話の本筋に絡まない無駄なシーンが多い、②登場人物全員が間抜けで緊張感に欠ける、③そしてなにより、何がどうバタフライエフェクトに繋がってくるのかさっぱりわからない、という3重苦なのだ。それもそのはずで、実はこの映画、「バタフライエフェクト」は邦題で、本当に本家とは全くの関係のない、ある意味タイトル詐欺みたいな作品だったのだ。いやはや、こんな映画があるのかと大変驚いた。ヨーロッパに向かう道すがら、時差ボケ回避のためにここで夜を明かして過ごす予定だったが、この映画のあまりの破壊力を前に寝ずにはいられなかった。そういう訳で、午前7時、私はヨーロッパに向け友人宅を後にした。

 

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