つちのこの巣穴

未確認生物による、未確認な世界の記録。

香港旅行②


 2日目 11月20日(火) 

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何かよくわからない肉入りのピータン粥。

 早朝の静寂が、ラッシュの雑踏と喧騒でかき消され始める午前7時、我々は宿を後にし、街へと繰り出した。お目当ては粥だ。香港では、中華粥がポピュラーな朝食で、我々の向かった店は日々鎬を削る香港の粥屋の中でも超が付く有名店だった。私はピータンと何かよくわからない肉が入った粥を選択。海外に来たときは、旨くてもまずくてもその土地でしか食べられないものを食う、というのが私のセオリーだ。癖はあるが、非常に優しくまろやかな味わいだった。

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尖沙咀から見た香港島

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魚のつみれ入り麺。付け合わせは青菜の煮びたし。だいたいこれで900円なので地味に高い。

 朝食を終え、尖沙咀東岸の免税店を散策した後、ちょっと早めの昼食に。中華といえば麺料理という事で、麺料理の有名店にやってきた。私は魚のすり身が入った細麺を選択。ラーメンに代表される日本の麺料理と比べるとボリュームは小さく、小腹を満たすのに丁度よいサイズだ。味もあっさりとしていて食べやすい。香港は広東料理の影響が強いからか、台湾やシンガポールといった他の中華圏での食事よりも、全体的にさっぱりとした味付けだと感じる。

 さて、昼食を済ませ地下鉄で香港島へと向かう。香港の地理について明るくない諸君も多いと思うのでここで説明する。普段我々が香港と呼ぶ地域は主に九龍半島香港島、それから空港やディズニーランドが存在するランタウ島の三つに大別される。都市として発展しているのは、九龍半島とその香港島側の沿岸で、従って観光もそのあたりがメインとなる。

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1200円相当の柘榴ジュース。木の根元にあるのは柘榴の搾りかすとのこと。

 話を戻そう。上環(ジョウワン)で地下鉄を降り、寺社や出店を散策していると、美味しそうなフレッシュジュース屋を見つけたので休憩がてら寄ることに。柘榴ジュースを頼んだのだが、これがなんと1杯90HK$(1200円)と高かった。ぼったくられたんじゃないかと勘ぐっているのが伝わったのか、店の女性が柘榴の実が高い(から正当な価格だ)という旨の説明をしてきた。(後でスーパーで柘榴の価格を確認すると、ジュースの価格も強ち法外ではないことが分かった。下手な詮索をしたことをお詫びしたい)会話次いでに、この女性には日本語交じりの片言の英語で、いろいろな観光の指南もして頂いた。ジュース一杯にしては高かったものの、現地情報と束の間の休息も含めて、有意義な90HK$だった。

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中環の様子。

 女性から教えて頂いた通り、我々は土産物を買いに中環(セントラル)へ。中環は香港一のビジネス街で、オフィスやホテルが立ち並ぶ。都市の立体構造に四苦八苦しながらお土産屋を探し歩き、その後も坂の多い香港の街を歩き回った。空の色が青からオレンジ、そして紫へ変わり始めた頃、我々は所謂「100万ドルの夜景」を見る事が出来る観光スポット・ヴィクトリアピークに向かった。そして悲劇は起こった。

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10万ドルという名は決して大袈裟ではない。

 トラムの駅で我々が目にしたのは夥しい数の人の頭だった。ヴィクトリアピークは、香港島に聳える山の頂にある展望台で、そこまで行くにはバス・タクシーのほかにピークトラムというケーブルカーが一般的だ。しかしこのピークトラム、実は夜景を見る時間帯は混雑必至で、長いときでチケットを買うだけで3時間待ちにもなるのだ。既に1日中街を歩き続け、疲労困憊だった我々には、この長蛇の列は大変に堪えた。結局、トラムの山麓駅に着いてから頂上に上がるまで2時間以上を費やした。そんなこんなで苦労した我々だったが、その分燦然と輝く香港の街明かりが、より眩く見えたような気がした。

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香港島から尖沙咀へはフェリーを利用した。これは船内から見た香港島

 バスとフェリーを乗り継ぎ、尖沙咀のホテルに着く頃には、既に日付が変わりかけていた。夕飯の算段もしていたが、各々そんな気力もなく(私は実はまだ食べに繰り出すのも吝かではなかったが)ホテルの中で軽く摂ることにした。基本的に、海外で食べる米飯に私は大して期待をしていないのだが、同じ米文化圏だからとこの日は海外旅行では珍しくコンビニでレトルトのどんぶりなんてものを買ってみた。空腹に耐えて歩き回った末の食事。部屋に戻ると私は温めたどんぶりを思い切り掻き込んだ。芯の残った米の何とも言えない食感だけが口の中に広がった。米は日本で食うに限ると、改めて悟った瞬間だった。

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この日の夕飯はセブンイレブン。米が恐ろしくまずかった。

 (香港旅行③に続く)