つちのこの巣穴

未確認生物による、未確認な世界の記録。

クソ映画研究会

 高校時代の部活の友人と、大学で久しぶりに会った。聞くと、22時から「クソ映画研究会」なる会合があるということで、昨晩は同研究会の定例会に失礼した。本稿ではその様子について言及したい。

 クソ映画研究会は、私の高校同期ら(彼らと私は同じ大学に通っている)が約一年前に設立した組織だそうだ。月に一度、会員の下宿に集まり、クソ(だろうと思われる)映画を批評し、本当にクソであるのかを検証する。この日は、AMGエンターテイメントという制作会社の作品に特化して見てみるという企画だった。会員らの話によれば、この会社はクソ映画を量産する、クソ映画界のパイオニアらしい。

 以下、私も彼らに倣い、評価をつけてみた。映画通でも何でもない門外漢の意見だが、何かの役には立つだろう。

人狼ゲーム(2013年)

【あらすじ】主人公であるごく普通の女子高生が、ある日突然誘拐され、シュミレーションゲーム「人狼ゲーム」を模した殺人ゲームへの参加を余儀なくされる。生き残るために誰かを殺さなければならないという極限状態の中で、少女は徐々に変わっていく。

【評価】構成 3.0/演出 1.0/ストーリー 2.5/演技 1.5/メッセージ性 1.5

【総合評価】 1.9

【総評】よくある監禁系サバイバルゲーム映画。私はこの手の映画はあまり見ないが、それなりに考えながら見れたので、退屈ということはなかった。ただし、間延びしたカットや不必要な描写が多々見られる、重要なセリフを役者が金きり声で叫ぶのでよく聞き取れないなど、改善点は大いにあると感じた。

 

・白い沈黙(2014年)

【あらすじ】9歳のキャスはある日、父親のマシューが目を離した隙に失踪してしまう。彼女は、児童虐待を行う組織の男の手によって誘拐されてしまったのだった。8年の時を経て、コーンウォールダンロップ両刑事が、キャスと思われる画像をネット上で発見し、事件が動き出す。

【評価】構成 1.0/演出 3.5/ストーリー 2.5/演技 4.0/メッセージ性 3.0

【総合評価】2.8

【総評】まず。時系列が滅茶苦茶で非常に分かり辛い。最初の30分はついていくのに必死である。そのくせ、全部見てみれば内容自体には大したひねりもなく、いったい何がしたいのかがよくわからない。誘拐犯の行動もコメディかと思うくらい滑稽で、シリアスさに欠ける。児童誘拐という重いテーマに対してナンセンスと言わざるを得ないストーリーである。

 こんなところであろうか。まあ酒を飲みながらワイワイやって見るには面白い作品だった。会員によれば、今回の映画は割と面白い方だったとのことで、本当のクソ映画は見ててイライラするレベルだというから、この世界もなかなか奥が深い。

 こうして、無事2作を見終えた。AMGエンターテイメントへの手紙を認め、明け方5時、会員らはそれぞれの家へと帰っていった。

 以上、本稿では、クソ映画研究会なる団体の集まりに参加した際のルポを綴った。クソ映画研究会という名前を聞いた限りでは、なんて悪趣味な集まりなんだと感じたものだが、よくよく考えてみれば、クソ映画と呼ばれる類のものというのは、こうして取り上げられなければ永遠に日の目を見ることなく人々の記憶から消え去っていくはずだったのだから、面白おかしく話題にするというこの活動も、ある意味で作品に対する供養になるのかとも考えた。来月には、クソ映画研究会1周年を記念し、クソ映画アワード開催するとのことなので、また参加したい。

 では、本稿はこのあたりで終わることとしたい。ご高覧、感謝する。